イップスを一言で表すのは非常に困難です。なぜなら、この「イップス」という症状は、その人その人それぞれに違う形で現れてしまうからです。
そのような中であえて一言で表すと「今まで出来ていたことが急に出来なくなった」ことということになります。そして、「ごくまれに突然また出来てしまうことがある」ということも付け加えておきましょう。
そして、イップスは誰もがかかってしまう可能性のある精神的な症状です。
「イップス=Yips」には、「子犬がキャンキャン吠える」という意味合いも含まれています。つまり、「言いたいことが言えない(言わない)」ということも大きな要因になります。育ってきた家庭環境や指導者の観念(物の観方・考え方・受け取り方)の押し付けや、「~しなくてはならない」といった本人の観念が大きく関わり、「心」か「頭」か「身体」のどこかに不具合が生じ発症してしまう症状です。
人間の身体もこのトライアングルと一緒です。何もない状態でたたけばとてもきれいな音色がします。ところが、どこか一か所握ってたたくときれいな音色は奏でられません。
つまり、このどこかに不具合が生じていれば、自分の能力を最大限に発揮することは出来ないということになります。
そのため、イップス症状の発症は、「メンタルが弱い」「練習(訓練)が足りない」わけではないということをご理解いただければと思います。
一昔前までは、ゴルフや野球界隈でしか使われなかった「イップス」という言葉ですが、最近では、この2種目だけでなく、あらゆるスポーツにおいても「イップス」という言葉が使われるようになってきました。
加えて、近年では、スポーツだけでなく、楽器の演奏、歌手の発声、役者や声優の発声、料理師や美容師、そして、一般の会社員など多岐にわたり発症例が、散見されています。
また、心の病やうつ病との関連も深く、心の葛藤の積み重ねから自己嫌悪に陥り、自分自身を見失ってしまうこともイップスの症状の一つと考えられます。
しかしながら、イップスの症状が現れたというのは、「何かの合図」です。
自分が進化できるチャンスでもあります。
今までの自分を「受け容れて、乗り越えて」いきましょう。