脳は、約8割の大脳、約1割の小脳、残りの間脳という中枢神経で成り立っています。大脳は、感情・思考・創造・言語・記憶の蓄積、更には運動野といって運動をコントロールする機能を持っています。小脳は、「運動の司令塔」と言われ、姿勢保持のためのバランス調整や、身体を動かすために、筋肉や関節をどう動かすのか計算する機能を持っています。加えて、運動の記憶もこの小脳に蓄積されます。つまり、運動の司令塔である小脳がうまく働かなくなると、思うように動けなくなったり、自分が本当は何がしたいか解らなくなったり、と、「イップス」や「心の病」を発症してしまうのです。
脳の仕組み、身体を動かすための流れを見てみましょう。人間は五感(視覚、聴覚、臭覚、触覚、味覚)で情報収集をおこないます。中でも、視覚からの情報提供は、80%~89%とほとんどを占めています。
そのため、イップスのケア動作の中に、効き目の確認や目の使い方の指導があり、
とても重要なパートとなっています。
さて、この五感から得た情報を大脳でインプットします。すると、大脳がこうしたいと指令を出します。そしてその情報が小脳というコントローラーを一度経由して、大脳にある大脳運動野に戻り、脊髄を通じて手足を動かす指令が伝わり、実際に身体が動いていきます。
人間は、大脳をかえさず身体を動かす「反射」という能力が備わっていますが、ごくわずかの反応であり、実際の行動のほぼ全てが大脳からの顕在意識よりもたらされ、小脳の潜在意識の中にある経験から発揮されています。